症例紹介
CASE
- 2018.5.17
No7.外科症例(犬、前立腺肥大)
症例は14歳、未去勢の雄犬。基礎疾患で僧帽弁閉鎖不全症という心臓疾患がある子です。
血尿と尿漏れを主訴に来院しました。尿検査を行い治療を開始しましたが、症状の改善が見られなかったため、2回目の診察時に精査を実施しました。
レントゲン検査では、前立腺が明らかに大きくなっており、またエコー検査では前立腺の中に本来見られるはずのない嚢胞(液体が貯まっている袋状の構造)が多数確認されました。細胞診の検査では、「慢性炎症」との結果が出ましたので、腫瘍の可能性が低いことがわかりました。
よって、前立腺の慢性炎症による前立腺肥大・前立腺嚢胞と判断し、去勢手術を行いました。この病気の原因は、精巣から出るアンドロジェンとエストロジェンという性ホルモンのバランスが崩れることで、動物が高齢になるほどそのリスクが高くなります。去勢手術を行うことで原因となる精巣がなくなるので、治療に繋がります。
元々心臓病がある子でしたので、細心の注意を払い麻酔管理を行い手術に臨みましたが、術後の経過は大変良好で、症状もすぐに改善しました。
←オレンジの丸が前立腺です。本来ここに膀胱がありますが、前立腺が大きくなりすぎて膀胱(黄色い丸)を後ろから押しているので、お腹の真ん中のほうまでずれてしまっています。
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