症例紹介
CASE
- 2018.10.15
No18.外科症例(猫、大腿骨頚部骨折)
症例は1歳の若い猫ちゃん。数日前から歩き方がおかしく、しっかり体重を乗せられないとのことで来院しました。
足がプラプラし、触診時にカコッと捻髪音が聞こえたため、レントゲン検査をすると、右足の股関節の一部が骨折しておりました。骨折は大腿骨(太ももの骨)の骨頚部と呼ばれる部位で起こっていました。
←手術前のレントゲンです。一番骨が細くなっているところで骨折しています。(オレンジ:①)外傷時、股関節に脱臼は起こらず、負荷に耐え切れなくなった、骨の細い部分のみが骨折してしまったようです。骨の途中で骨折しているため、その先にある大腿骨頭が取り残されています。(黄色:②)
まずは①の部分を、骨折した根元で切り直します。今のままですと、残っている骨が少し長すぎてしまうため、手術後、関節に当たってしまい跛行が残ってしまいます。そのため、関節に干渉しない様に骨をトリミングします。
次に、②の骨を摘出します。股関節は、大腿骨頭(太ももの骨の丸い部分)と寛骨臼(骨盤の受け皿の部分)が靭帯で繋がっているため、その靭帯を切断して骨折片を取り除きます。
←手術の後のレントゲンです。骨折部分の長すぎる骨を削り(オレンジ:①)、残されていた骨折片を取り除きました(黄色:②)
←摘出した骨折片(大腿骨頭)。つるっと丸い形をした骨です。関節に収まる骨が丸いことによって、関節の動きが滑らかで、様々な方向に動くことができています。
←大腿骨頭には、靭帯が付着していて、股関節が外れないように、大腿骨と骨盤を繋ぎとめる役割を果たしています。今回の手術では、この靭帯がまだ残っていた為、靭帯を切断してから骨を摘出しました。
手術翌日からは、喉をゴロゴロ鳴らし、終始ご機嫌で無事に退院していきました。これから、少しずつリハビリを始め、筋肉を付けていければ、また今までの様に走り回れる日が来ます。少しずつがんばっていきましょうね!
←手術翌日の立ち方。傷口も小さく済みました。ただ、手術準備の消毒のために、傷口よりもしっかり広めに毛刈りを行っています。こうすることで、手術時に患部時が汚染されずに済みます。
今回、はっきりした骨折の原因はわかりませんでしたが、中にはお家で遊んでいるときに骨折してしまう子もいますので、元気で活発な子は十分に注意が必要です。
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