症例紹介

CASE

  • 2024.10.4

No.280外科症例(猫、脾臓破裂による腹腔内出血)

猫、ラグドール、11歳、未避妊雌の症例です。

半年以上前に腎臓病(腎盂腎炎)の診断を受け、数日間の抗生剤注射や血管点滴により元気になり、現在は自宅で一般生活を送っていました。

また、左右の卵巣異常もありましたが、腎不全のため麻酔のリスクを考え、手術は行わず経過観察を指示していました。

今年9月、「前日までとても元気にしていたが、突然、朝嘔吐してグッタリ倒れこんだ」との主訴で来院されました。来院時の体温は37.3度に低下し、いつもより元気がありませんでした。

そのため、すぐに精密検査を行いました。

超音波検査で腹水が確認でき、腹水採取を行ったところ「血様(出血)腹水」であることが確認できました。そのまま、検査を続け、脾臓に2cm程度の腫瘤が確認できたため、「脾臓腫瘤破裂による腹腔内出血」を疑いました。飼い主様との話し合いで、緊急手術を行うこととしました。

開腹すると、すぐに腹腔内の大量出血を肉眼的に確認できました。

出血部位を探しましたが、かなりの腹腔内出血で原因箇所を探すのは困難でした。

やはり脾臓に腫瘤病変があり、そこから出血が生じていること分かりました。そのため、脾臓を全摘出することとしました。

摘出した脾臓には2cm大の腫瘤病変が認められました。その腫瘤病変の裏側を確認してみると、破裂した出血部位が見られました。

腎不全を抱えての緊急手術でしたが、出血もおさまり、手術は無事に終了しました。

前回、腎不全診断時に卵巣と子宮の異常も発見していたという経緯があります。腎不全のため、手術を行う計画はせずに経過観察としていました。しかし、今回、脾臓摘出手術のために開腹をしたので、同時に子宮卵巣摘出手術(避妊手術)も行いました。

診断通り、子宮は腫大傾向にあり、かつ卵巣には大きな卵胞が認められました。

麻酔回復も良好で、退院も出来ました。

脾臓の病理組織検査結果は「血管肉腫」という悪性腫瘍でした。すでに破裂し出血していたため、腹腔内播種があります。今後、転移などに注意しましょう。

 

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