症例紹介

CASE

  • 2024.1.14

内科症例(猫、慢性歯肉口内炎におけるブレンダ口腔投与)

保護猫のため年齢不明、雑種猫、避妊雌の症例です。

1年前に迎えた保護猫ちゃんは当時より歯周病が重度であったため、ずっとステロイド剤を投薬しているとのことで当院に来院されました。ステロイド剤の使用中でも波があり、あまり経過は思わしくないとのことでした。

まず、当院ではウイルス検査を実施しました。猫ヘルペスウイルス陽性、猫カリシウイルス陽性、マイコプラズマ陽性という結果でした。

まずは歯のクリーニングと抜歯を行うこととしました。

歯肉は腫れて赤みがあり、舌下の炎症や浮腫も見られました。口腔内は粘膜が脆弱化し、易出血性でした。

 

 

 

 

 

 

歯石除去および抜歯後は痛みが軽減し、食欲が増加しました。ステロイド剤も減薬し、抗生剤やインターベリーという口腔内医薬品を併用することとしました。

経過は良好でした。しかし、時間経過とともに痛みが再燃してきました。

そのため、新しい治療法として「ブレンダ」という注射薬を口腔内に滴下する方法を試してみることとしました。もともと、ブレンダは膵炎の治療薬として開発された抗炎症作用のある薬です。そのブレンダを口内炎に使用する治療法も出てきました。

この猫ちゃんには合っていたようで、以前のような流涎が減少し、食欲も改善傾向がみられました。まだまだ治療を始めたばかりですので、経過を見ていく必要がありますが、まずブレンダを一定期間続けていく予定です。

猫ちゃんの慢性歯肉口内炎」でお困りの方も多くいらっしゃいます。

慢性歯肉口内炎の従来の治療法は①ステロイド薬 ②鎮痛薬 ③抗生剤 ④全臼歯抜歯 が主流でした。そのため、ステロイド薬などの内科療法で効果がでない場合、臼歯を全部抜歯するという手術をしていました。全臼歯抜歯を行っても、治癒率は60%程度と言われています。

現在では、治療効果は症例により様々ですが、幹細胞療法(再生医療)や抗炎症治療薬(ブレンダ)などの治療出てきました。全臼歯抜歯などの外科治療を選択する前に、まず安全性の高い方法を試してみるのを良いかと考えます。

 

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