症例紹介

CASE

  • 2023.6.22

再生医療(犬、脂肪幹細胞療法、PRP療法、肝炎、角膜潰瘍)

角膜潰瘍治療中に急性肝炎となり嘔吐と食欲不振が見られたシニア犬の治療報告です。なかなか治療に反応が見られなかった症例ですが、再生医療を併用したことで順調に快方に向かい、無事に退院することができました。

角膜潰瘍とは目の表面にできた傷のことです。今回の症例はドライアイが根本的な原因となり、角膜潰瘍ができていました。ドライアイは涙の量が少ない、もしくは全く出ない病気です。涙は、目の健康と正常な機能にとってとても重要な役割を果たしています。以下に、涙の主な役割をわかりやすく説明します。

  1. 目の保護: 外部からの刺激や微生物、ほこりなどから守っています。涙はまばたきと共に目の表面全体に行き渡り、外部の異物が目に入るのを防いだり、異物を洗い流す働きをします。
  2. 目の潤滑: 涙は目の表面を潤滑に保つための重要な役割を果たします。目の表面が乾燥してしまうと、まばたきが不快に感じられたり、目の組織が傷つく可能性があります。涙には水分や栄養素が含まれており、目の組織を保湿し、滑りやすくします。
  3. 栄養供給: 涙には酸素や栄養素が含まれており、目の表面の組織に必要な栄養を供給します。目の表面は酸素や栄養を直接吸収することができないため、涙を通じてこれらの必要な物質が供給されます。
  4. 免疫機能: 涙には抗菌作用や免疫機能があります。涙の中には抗体や酵素が含まれており、外部からの微生物の侵入を防ぐ役割を果たします。また、涙には炎症を抑える成分も含まれており、目の炎症や感染に対して防御機能を発揮します。

これらの役割によって、涙は目の健康と機能を維持するために欠かせない存在です。涙の不足や涙の質の低下は、目の乾燥や炎症、感染症などの多くの問題に直結します。そのため、ドライアイなど涙の問題がある場合は、適切な治療を受けることがとても大切です。

今回の症例は涙が出ていないことにより、まばたきで角膜が傷ついてしまっていました。角膜潰瘍の治療を徹底して行っていましたが、ドライアイが重度であったため、なかなか完治に至らない期間が続きました。途中で、急性肝炎も発症してしまい、肝炎の治療も含めて入院下で治療を行っていました。急性肝炎、角膜潰瘍のどちらも思うように改善が見られなかったため、再生医療の一種である脂肪幹細胞療法とPRP療法を行うことになりました。

脂肪幹細胞療法とは脂肪組織から抽出した幹細胞を点滴で入れる治療法です。幹細胞は炎症がある部位に集まり(ホーミング)、炎症を抑えてくれる働きがあります。脂肪幹細胞療法と肝炎の一般的な治療を併用したところ、そこから血液検査のALT(肝酵素と呼ばれ、肝炎の指標にもなる項目です)が大幅に安定しはじめました。治療前2419U/L→治療後157U/L

角膜潰瘍も完治し、少しずつ元気や食欲も安定したことで、無事に退院することができました。その後の定期検診でも数値は正常範囲内、角膜潰瘍も再発することなく、お家でのんびり過ごせています。

 

********************************************************
MORIYA Animal Hospital
モリヤ動物病院(トリミングサロン・ペットホテル併設)
中町センター病院(町田市)
 東京都町田市中町2丁目15-18 TEL:042-726-1500
つきみ野病院(大和市)
 神奈川県大和市つきみ野8丁目13-9 TEL:046-271-6660
 トリミングサロン専用 TEL:080-9086-8980
********************************************************

記事一覧

English