症例紹介

CASE

  • 2023.8.5

No.199外科症例(犬、悪性乳腺腫瘍における片側乳腺全層切除術)

14歳、MIX犬の女の子の症例です。

当院サロンでのトリミングの際に、トリマーが左右に1つずつ小さな乳腺のしこり(腫瘤)を発見しました。

しこりの存在を飼い主さまにお伝えしたところ、自宅では気づいてなかったとのことでした。乳腺腫瘤の細胞検査を希望したため、当日、腫瘤の検査をしました。

犬の乳腺腫瘍は良性腫瘍が50%、悪性腫瘍(癌)が50%であると言われています。そのため、良性か悪性かどうかで、乳腺腫瘤の治療方法が大きく異なります。

どちらかを判断するには、病理組織検査が必要となります。

今回、病理組織学的検査は左右の腫瘤は「腺管癌」との診断でした。つまり、悪性腫瘍であります。

そのため、後日、全身麻酔で「左側乳腺全層切除手術」および「右側乳腺部分切除手術」を行うこととなりました。

乳腺全層手術とは、第1乳腺から第5乳腺までのすべてを切除する手術方法です。乳腺癌の転移リスクを減少させることが目的の手術です。

本来は左右共に全層切除手術が必要となりますが、一気に両側を切除すると縫合する皮膚に余裕がないため、一般的には時期をずらして手術を行います。今回、左側の乳腺を先に手術することにした理由は、左側の方がひとまわり腫瘤が大きかったことが決め手です。

とても大きな術創で驚かれる方も多いと思いますが、乳癌の転移を予防するためには重要な手術となります。

メス犬の乳腺腫瘍の予防方法としては、避妊手術が有効です。乳癌の罹患リスクを最小限にするためにも、初回発情前に避妊手術を行う事をお勧めします。避妊手術をすると、女性ホルモンを分泌する卵巣がなくなるため、乳腺腫瘍になるリスクを大幅に減らせます。

愛犬ちゃんの腹部に小さなしこりを発見した方は、お早めにご相談ください。

 

 

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