症例紹介

CASE

  • 2024.3.7

No.234外科症例(ウサギ、子宮腺癌、膀胱結石)

「近医で膀胱結石と診断されたが、手術ができないと言われた為、転院してきた。日に日に体調も悪くなってきている。」というシニアのウサギさんです。1週間前から食欲がなく、元気もなくなってきており、体温も正常より低くなってしまっていました。

レントゲン検査を行うと、主訴の通り大きな膀胱結石が多数認められました。オレンジ色の矢印の部位に白くて丸い結石がはっきりと映し出されています。

 

 

 

 

エコー検査では、膀胱結石だけでなく、子宮の中に液体が溜まり太くなっていることも判明しました。そして、子宮自体も一部肥厚していました。血液検査では、腎不全の数値が上がり、全体的に体調が落ちている状態でした。

飼い主様との相談の上、日に日に体調が悪化しており、低体温症にまで陥ってしまっていたため、少しでも体力が残っているうちに手術を行うという方針のもと、即日の手術になりました。手術でお腹を開けてみると、子宮は張り裂けそうなくらい大きくなっていて、腹膜炎を起こしていました。麻酔は安定しており、無事に手術は終わりました。

 

 

摘出した子宮は一部しこり状になっていたため子宮の病理組織検査と、子宮に溜まった液体の中にばい菌がいないかどうかの細菌培養検査に回しました。

 

 

 

 

膀胱の結石もたくさん摘出されました。これでおしっこもスムーズに出せますね!

 

 

 

遠方にお住まいの方だったため、手術翌日には退院し、継続の治療は近医でお願いすることになりました。

その後、2週間検診では傷もきれいに治っており、無事抜糸を行いました。また、血液検査では腎数値は落ち着いており、正常な数値に下がってくれていました。そして、なにより元気食欲が今まで通りに回復してくれたそうで、とても嬉しいです。

子宮のしこりは「腺癌」という悪性癌の結果が返ってきました。しかし、今回の手術で癌細胞は全て取りきれているという検査報告だったので、今後は定期検診で体調をチェックしながら、お家でのんびり過ごしましょうね!

 

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